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嗅覚を取り戻す

嗅覚を取り戻す

第何波なのか、もう数えても仕方ないほど長く続いているコロナウイルスの猛威
地方のこの辺りの感染者は、常時二桁程度に留まっていたのですが、お盆前後からどんどん増えて、三桁、四桁と増え続け、山間部の町にも広がりを見せました。

幸い私を含め家族や近親者は変わらず過ごせていますが、感染や濃厚接触を理由に講座をお休みされる方がいらっしゃったりと、本当にすぐ側にあるといった状態を実感しています。
そんな折、療養中の精油やハーブについての問いあわせに交じって、嗅覚の異常に関しても聞かれることがありました。
以前から感染後の後遺症として話題にのぼっており、気になっていたので少しまとめてみました。
話題になった嗅覚トレーニングについても書いてあるので、良かったらお読みくださいね。

コロナウイルスによる嗅覚障害について

嗅覚障害は

・臭いが分からない
・臭いを感じない
・実際のものとは違った臭いがする
・そこに無いものの匂いがする
など匂いを感じる嗅覚器が、上手く働かない又は働かない状態

風邪をひいたときに、このような症状を経験したことがある方もいらっしゃるかと思います。
が、コロナウイルスに感染した時の症状はこれらとは違った特徴を持っているようです。
例えば
・他に原因がないのに、急に匂いを感じなくなる
・同時に味覚障害を伴うことが多い
・嗅覚障害以外の症状がないことが多い
など

ピンポイント的に嗅覚に障害がおきるのは、ウイルスの感染経路と受容体との関係にあるそうです。

コロナウイルスは、細胞の表面にあるACE受容体というところにくっつき、身体に侵入し感染に至ります。
ACE受容体は、体の様々な臓器に存在していますが、特に鼻の粘膜に多く存在するそうです。

コロナウイルスによる嗅覚障害は、鼻の粘膜に沢山あるACE受容体がウイルスに犯され、嗅覚細胞がダメージをうけてしまった状態です。

細胞の再生

細胞が死滅する。
こう考えると怖いのですが、人の細胞は日々消滅と再生を繰り返しています。
解り易い例だと、日焼けした肌が冬になると元に戻っていたり(ターンオーバー)、うっかり噛んだ頬の内側も気が付かないうちに治っていたりしますよね。人が自ら治ろうとする力 自然治癒力ものそのひとつです。
硬いと思われている骨さえも破骨細胞という細胞により壊され、生まれかわっています。
「今日の自分は昨日の自分ではない」なんて自己啓発に出てきそうな言葉ですが、生物学的にも日々新しく更新されているのは間違いないのですね。

嗅覚細胞はそのなかでも比較的早く再生する細胞。
刺激を与えることで、さらに細胞の活性化が促されます。
ここでいう刺激とは「香り」のこと。
複数の香りを嗅ぐことで、香りのスイッチを切り替えることになり、新しくできた細胞に刺激を与えます。

嗅覚障害が話題になってしばらくして、嗅覚のトレーニングに関する研究が話題になりました。

嗅覚トレーニングとは

現在、多くの病院では、CT検査などで鼻腔に異常がないかの検査後、嗅覚障害に対しては発症後3,4週間の経過をみるというのが一般的な対応のようです。

ですが、早い回復を望んで焦るなか、積極的に自分でできることを模索する人が注目しているのが嗅覚トレーニング

ドイツの心理学者ハンス・ヘニングが1916年に提唱した6つの基本臭(花、果物、腐敗、薬味、焦、樹脂)を用いて行った訓練がはじまりだそうで、香りを嗅ぐことにより症状の改善が見られたという研究結果が示されています。
日本では、アロマメーカーから精油を使った嗅覚トレーニングキットが販売されています。


嗅覚トレーニングの方法

トレーニングキットで使われている精油は

・ユーカリ(樹脂臭)
・クローブ(薬味臭)
・ラベンダー(花香)
・レモン(果実臭)
ユーカリは、ユーカリの葉から抽出した香りですが、樹脂臭と説明されています。
クローブは、香辛料の丁子(チョウジ)で、パンチのある独特の香りです。

これら数種の香りをそれそれ10秒ずつ嗅ぐという行為を、朝晩2回
約12週間程度続けてみましょうというものです。
サイトでは、分かり易く手順が動画で方法が示されています。
トレーニングキットの利用は手軽ですね。

海外での研究が基になっているもので、日本人にとっては馴染みが薄い香りもありますが、
嗅覚トレーニングは、嗅覚細胞に刺激を与えることがポイント
『 身近なもので系統の違う複数の香りを嗅ぐ 』ことでも、トレーニングできるかもしれません。
毎日の暮らしのなか
”食材の香りに意識を集中してみる”
という方法を実践された方もいらっしゃるようです。

嗅覚障害が及ぼす影響

五感からの情報は、脳に伝わり全身の隅々までサインを送ります。
同じ脳でも、嗅覚からの情報だけは、脳の大脳辺縁系という他の感覚器からとは違った場所に伝わります。
それも何倍も速いスピードで。

大脳辺縁系は、情動(喜怒哀楽)や本能(食欲や睡眠など)を司る脳の部位
これは、ヒトが進化していくなかで嗅覚からの情報が、生命活動により重要であったからと解釈されています。

この嗅覚に障害がおきると

・食欲が低下する
・集中力が低下する
・判断力や決断力が低下する
・意欲が低下する
・気分が塞ぐ
・眠れない

など、全身に様々な支障が出るといわれています。
また、味覚障害も伴うとなると、日常生活にどれほどの影響を及ぼすか
想像に難くないでしょう。

まとめ

嗅覚障害については、多くは4週程度で改善されるそうです。
とはいえ、症状が長く続くことは、不安とともに心身に大きな影響を及ぼします。
またコロナ禍においては、仕事柄感染源とならないため緩められない緊張、味覚障害や倦怠感、ブレインフォグと呼ばれる思考にモヤがかかったような状態など
複合的な悩みを抱えた方も多いようです。

アロマテラピーは医学的な治療ではありません。
しかしながら、得意とするストレスケア分野をはじめ、不調改善にむけての研究もたくさんすすめられています。
嗅覚訓練に使うアロマについてなど、気になることがあればどうぞお声掛けくださいね。

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