BLOGブログ

高校生の作るアロマ商品

高校生の作るアロマ商品

アロマ商品が完成しました

高校生が取り組む6次産業化事業の一つとして、アロマ商品作りをお手伝いさせていただきました。
地元で使える資源の洗い出しから、商品決め、コンセプトなどじっくり時間をかけてようやく商品の完成に至りました。
これもひとえに卒業生を含め生徒さん達の頑張りと先生方の熱意と、たくさんの方のご協力とご指導、ご支援の賜物。
ご報告を兼ねて商品化までの経緯などをまとめました。

高校生が取り組む6次産業化

ご存じの方も多いかもしれませんが
6次産業化とは、農林漁業に従事する人達の所得向上のための取り組みのこと。
1次産業を担う農林漁業者が、自ら2次産業(加工)や3次産業(販売・サービス)までを手掛けることを指すことから
1次×2次×3次を掛け算し、6次産業といわれています。
農業での例をあげると、農家がお芋を作り、そのまま市場に出すだけでなく、自ら干し芋に加工し販売まで手掛けるなどです。

この事業は、6次産業を専門校間で連携し行おうと、2017年度から徳島県教育委員会主導で「6次産業化プロデュース事業」という名で始まりました。
県下の農業・工業・商業を持つ学校がその枠を越え連携して取り組んでおり、現在は「6次産業化ステップアップ事業」という事業で、県内を3ブロックに分けて行われています。

今回のアロマ商品は、県西ブロックの徳島県立池田高等学校三好校(農・林・畜)と徳島県立池田高等学校辻校(商)の連携*で作成されました。
同じ県西部であっても、それぞれに基本の授業にテストや行事など各校のスケジュールを合わせることは難しく、さらに2020年からのコロナ禍もあり随分足踏みをしましたが、この夏に商品として完成し、現在は一部でテスト販売を始めています。

6次でのアロマ

まずは商品にするための、地元で香りが採れそうな材料探し。
といっても、商品にするとなるとある程度の量が確保されることが必要で、自然と「木と果実」に決まりました。
アロマテラピーに関する商品は、精油の原料が自然と直結していることもあり、全国の6次産業事業や地域振興商品でよく見かけます。

ですが、三好校は自校で農園を持ち柑橘を栽培、林業実習のために樹木の特徴も把握しています。
大きな強みのひとつです。
間引きされる未熟な果実や、傷などで販売ルートに乗らないものや破棄されるものがあること、間伐や枝打ちなどでヒノキや杉など、未利用資源となっているもので活用できそうなものがあることがわかりました。

さらに工業高校の技術により、精油の抽出に必要な蒸留器が制作され、地元産物を自校で抽出し精油を確保することができました。
抽出された精油は、大学での成分検査により不純物がなくそれぞれの原料の特性を十分に持ったものと結果をいただけました。

商品の絞り込み

商品づくりの前に、アロマテラピーの基本から設備や関連する法令のことを講義や資料で共有しながら、商品の絞り込みと試作。
試作には地元生産者さんから提供いただいた果実や木も使用させていただきました。
意見を出し合い、キャンドル・リップクリーム・フォトスタンド・サシェ・家具用ワックスなどの案から、試作や東京での市場調査やアンケートも行いました。
結果、あふれるアロマ市場で「アロマを使用したいい香りの商品」というだけでは弱い。
香りの働きを意識したアロマテラピー(芳香療法)を前面に出したもので、形状は設備や技術的な面からも手に取りやすいスプレーに、ということでおさまりました。

コンセプト

商品のコンセプト、商品づくりの基本となる考えは、精油の持つリラックス作用や抗菌・防臭作用を活かしたものに決まり、次の溶剤の検討や、製造の段取りなどがほぼ固まり、進めていたところ

西日本が豪雨災害に見舞われました。
隣県愛媛県では床上浸水により避難所が開設され、地元三好市の道路も106箇所が崩壊。
土砂崩れが起こりやすい地質や、大断層の中央構造線上にあるという立地の校舎で学ぶ自分たちにも、災害は一層身近なものだと感じられました。

そこで「災害時に役立つアロマ」という、より具体的な方向性を加えることになりました。

災害時対策より、まずは防災という意識が大事ということで、防災アロマ。
堅苦しいイメージではなく、BOUSAIとアルファベットで表記することで、目で追い読んでもらうことができインプットしてもらいやすく。
1ステップ進めた年でした。

足止めとヒント

では、これで。
と、あとは商品づくりだけになった頃。
コロナウイルスが蔓延し、事業どころではなくなり通常の授業さえ支障が出てしまう状況になってしまいました。

高校同士が集まることなく、事業は足止め。

ですが、街中あらゆるところで見かけ、世の中の人が手ばなさずにいるのは、私たちが予定しているスプレーでした。
そこで内容の配合を再検討し、アルコール度を77%まで上げました。
ウイルスを気にせずに生活するのが難しい時代に、対応できる商品へともう1ステップ。
樹木の精油には、抗菌や殺菌がうたわれている成分も含まれているという、心強さもプラスされています。 
 


こだわる

配合の見直しで、重要になったのがアルコール。
長く続くコロナとの共生では、頻回なアルコールの使用での手荒れについての悩みもよく聞きます。

アルコールを優しいものにしよう。
いくつか検討したなかで、行きついたのはバイオエタノール。
有機栽培米由来アルコールはその製造過程も6次事業の商品とマッチし、商品に一層の付加価値をつけることができました。

容器の見直しも。
カード型は、商品名前をはっきり大きくみていただけるようになり、裏面も小さいながらも必要な説明を記載することができました。
スリムで携帯しやすく、キャップレスなのでワンアクションでスプレーすることができます。

まとめ

溢れるアロマ市場のなかで手にとってもらえること、企業が販売している商品と勝負できるもの、もちろん誠実で良質なものであること、など試行錯誤し随分と時間がかかりました。
コロナ禍ということを差し引いても、もう少しスマートにスピーディーにできたのではと思わなくもありません。私の力不足です。
しかしながら、コンセプトが決まった後もアルコール度を高めたり、素材にこだわったり、容器を見直すなどの訴求ポイントを増やすことができましたので、結果的にはよかった。と生徒さんの頑張りに免じ大目に見ていただきますようお願いします。

これらすべて、毎年関わってきた生徒さん達や先生方の取り組み、大学の先生方、一般の方々に県内外の企業様、教育委員会のご担当者様からのご指導と、ご協力にご支援の賜物

先の徳島ビジネスチャレンジメッセと、先日の一般向け商品説明展示、テスト販売でも好評をいただいております。
徐々に皆様のお目にとまる機会も増えていくかと思われますので、見かけましたらどうぞお手に取っていただければ幸いです。

公益社団法人 日本アロマ環境協会主催
[アロマフェア2022] 出展 11/20 新宿住友ビル 三角広場 (要事前申し込み) 

BLOG TOP