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メディカルハーブとアダプトゲン

メディカルハーブとアダプトゲン

ハーブを使う

ハーブというと、どんなものを思い浮かべますか?
ガーデニング好きな方なら、富良野のラベンダー畑。お料理好きな方ならバジルのパスタなどでしょうか。
「メディカルハーブ」はどうでしょう。
講座でも常に使うハーブについて、少し興味を持っていただければとまとめてみました。


メディカルハーブについて

ハーブは香草・薬草と訳されます。

私たちが使っている、育てたり、食べたり、飲んだりする方法以外にも、人は健康を守るものとして古くから植物を身近に置いていました。
メディカルハーブは、私たちの体にポジティブな反応をもたらす機能的な部分を生かす分野。
香りや色をはじめとするフィトケミカル(植物化学成分)が、ストレスや老化といった現代人の抱える体や心のトラブルに有用とされているためです。




アダプトゲン

少し耳慣れない言葉かもしれませんが、
「アダプトゲン (adaptogen)」とは、様々なストレスに対して適応力を高める作用そのものや、そういった作用をもつ植物などを指します。ハーブでいうとホーリーバジルやリコリス、アシュワガンダやマカなど。

定義としては、次のようなものがあげられています。
①無毒で、正常な体に必要以上に影響を与えないもの
②体内において、様々なストレス要因に対する耐性を増加させるもの
③ストレス要因によって生理機能が基準値から外れても、それを生理学的に正常化させるもの

これらを満たしたアダプトゲンの持つ作用は
・ストレスの緩和
・疲労回復
・体力増強
・免疫力向上

など。心と身体を活性化させ、いきいきとした状態に移行させてくれます。
また、ホルモンや免疫システムへの働きかけは、高ぶった機能は鎮め、停滞したり落ち込んだ機能は持ち上げ、ストレスによって乱れた体の機能のバランスを整え正常に戻す作用が大きな特徴だとされています。




体に作用するメカニズム

こんなメディカルハーブの話をするとよく「効くのですね」と聞かれることがあります。
医療従事者でないので、詳しく説明することはないのですが、気になる作用はその都度調べなおしています。
というのも、体に関することは研究の数も多く、日々情報が塗り替えらえているため。

先日は「システム生物学(システムバイオロジー)」という言葉が目にとまりました。
「生物をシステムとして理解することを目的とした研究」だそう。
システム工学の考え方を生物学に導入し、生命のシステム的側面を主とした理解に関する研究全般。とあります。

このシステム生物学的の観点からアダプトゲンを用いた研究結果では、アダプトゲンはストレスに対抗する細胞の適応システムを活性化させる役目を持ち、ストレスから細胞を保護したと考えられるそう。


ーー以下ちょっとややこしいので☆まで読み飛ばしてくださってOK

これまで、アダプトゲンが抗ストレスに関する活性化経路を刺激することは分かっていたが、ストレスからの保護機構はまだ完全には理解されておらず、このことから研究された結果、植物アダプトゲンの作用メカニズムが、メラトニン*と似ていてこのホルモンが出す指示伝達の経路を活性化・上方調整させるとともに細胞を保護したと考えられる。ということらしい。さらに別の研究では、慢性の炎症や、認知や代謝の障害等のストレス誘発性疾患や加齢関連適応ストレス応答シグナルの伝達経路も活性化することが示唆されたそう。*(恒常性の調節に重要な役割を果たしている適応ホルモン)



アダプトゲンハーブも薬が治療効果を及ぼす仕組み(作用機序)と同じように、作用するメカニズムが調べられ、なぜ・どうやって体に作用しているかの研究もされています。



メディカルハーブ・アダプトゲンの取り入れ方

次々と届け出が出されている機能性表示食品。その中には見慣れた野菜や植物の名前のエキスが並んでいます。
ハーブや野菜にはとてもたくさんの成分がバランスよく含まれています。
ですが、医薬品に比べると成分の量自体は格段に少ないです。
そのぶん副作用など有害な作用の心配も少なくなります。

一方の長所はもうー方からすれば短所。
どちらがいいということではありませんが、違いを知り賢く使えば、現代人が抱えるストレスケアはもちろんですが、特にここ数年のウイルス関連の多岐にわたる不調などセルフケアの頼もしい味方になってくれると感じています。

<機能性が特定されているメディカルハーブ>

マルベリー…血糖値調整 糖尿病予防
イチョウ…記憶力の低下や耳鳴り、めまいなどの脳循環不全、およびそれに伴う機能障害の改善

< パワフルさが魅力のアダプトゲン >

サプリやチンキなどを活用するとより効果的だといわれています。
・オタネニンジン(朝鮮人参)…病後や免疫の強化に。
・ホーリーバジル…生活習慣病全般、風邪、インフルエンザなど
・アシュワガンダ…滋養強壮 
・マカ…更年期・疲労倦怠


※アダプトゲンは、作用の強さから妊娠・授乳中、小児には不向きだと言われています。
 高血圧や服薬中の方は、事前に医師へご相談されることをおすすめします。

まとめ

ピラミッドの壁画には、植物のエキスを移した油を体に塗る様子が描かれています。
コロナ禍に比較された、ヨーロッパを震撼させた感染症ペストの患者を診て回った医者は、ハーブをマスクに忍ばせたと記録されています。
どれも、今のように分析機械も顕微鏡さえない化学の発達していない時代です。

先人たちは、様々な経験・体験から、植物のどの部分を使うとよりシャープに効くのかを研究しました。
そして解熱・鎮痛・消炎剤としてよく知られている「アスピリン」は、樹皮から得られた分解物から作られました。
今も「効くといわれている植物」がどうやって、何が効くかが調べられ続けています。
美味しく、からだやこころを想い飲む1杯のお茶、オイルやチンキ・料理の背後には、なぜそれを使うか、伝承だけでない根拠をももって使うハーブがあります。


人の歴史とともにずっと存在し続け、助けとなってきた薬用植物。
現在は、温暖化や土壌汚染など様々な理由から、薬となる原料植物が確保できなくなってきています。
近代医学の医薬品のルーツが薬草・香草(メディカルハーブ)や菌にあることを忘れずにいると、私たちの健康に対する欲を受けとめてくれる、自然や植物との付き合い方がわかるような気がします。

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講座では、今回ご紹介したアダプトゲンを使ったLessonを行っています。

次回からの「ハーブ&ライフ講座」は内容もリニューアル。
歴史や栽培から管理、その安全性についてを学べるだけでなく、ハーブ料理の実習を毎回実施。
テキスト上だけでなく五感で身につける講座です。
漢方や薬膳、日本のハーブのことなどにも触れながら
ハーブ初心者から実践を楽しみたい方まで、どなたにも楽しんで学べる内容です。

3月1回、4月2回、5月2回の計5回講座
現在日程調整中ですが、受講者さま(若干名)を追加募集いたします。
(講座内容リニューアルにつき、次回より受講料を変更させていただくため、現行の受講料での開催は今回のみです。)


講座の内容は下記から。
詳細お問合せは、contactフォーム✉からお願いします。

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