二十四節気（にじゅうしせっき）は中国の古代の暦に由来し、太陽の位置を基準に一年を２４の節目に分けて季節の移ろいをあらわしたもの。
立春や夏至など今でもカレンダーなどでよく見かけます。
「自然暦」はもっと肌感覚に近いもの。
自然の変化や生き物の動きを手掛かりに暮らしや農作業を進めていきます。
カレンダーや日付ではなく、自然の「兆し」や「気配」そのものが暦になる。
農作業に特化した暦*とともに、地域や人によっても感じ方が違っていい自由な暦です。
「蛙が鳴いたら」「霜が降りたら」など、生きものの動きや自然のちいさな変化が、そのまま暮らしの合図になります。

今年、この地域では冬の雪が多かった影響で、茶の葉の成長が例年より遅れ、新茶の摘み取り時期が1週間ほど後ろ倒しになったと聞きました。
葉も小さく、量もいつもよりも少なかったそうです。
カレンダー上では「そろそろ」の時期であっても、自然の都合はそう単純ではないことを改めて感じさせられた話です。

種をまく頃、土の表面は少しずつあたたかさを増し、やわらかくなってきます。
目には見えませんが、土の中では多くの微生物が動き始め、落ち葉を分解し、植物の根のまわりを整えながら、土を耕しています。

このような微細な営みも、気温や湿度、日照時間といった外の環境と密接に関係しています。
農業に携わる方々はそうした変化を感じ取ることで、土が「今、まいていい」と言ってくれているタイミングを見ているのでしょう。

自然の流れに沿った暮らしは、効率やスケジュールだけでは測れない面もあります。
けれど、その分だけ、自然との対話や、変化を見極める感覚が育っていくのでしょう。

自然に耳をすませ、土の変化に目を向けること。
その積み重ねが、私たちの暮らしと自然との距離を、少しずつ近づけてくれるように感じます。